2014年12月5日金曜日

東洋の宗教、西洋の宗教

仏教は、神秘的な目覚めの体験を通じて
「不可思議」(アチンテイア)の実相に達することを
語っています。
そこではあらゆる要素が一つに溶け合っていて
分つことの出来ない”そのようなもの”ー悟り、
つまり「真如」(タタター)であり、また一切のものに
広がっている仏陀の「法身」(ダルマカーヤ)の
本質へと参与していきます。

禅は「悟り」という啓示の体験について強調しています。
それは、すべてのものの持つ仏性について直接に
神秘的な気づきを得ることであって、
人は自分が存在するすべてのものの大いなる連続体に
統合されたその一部分であるということを体験します。

儒教と道教は、一方は実践的で、もう一方は神秘的である
と言う点で、補い合う対照的性格をもっていますが、
どちらの根底にも、永遠なるタオの考え方が流れています。

東洋の主な宗教は、全ての事物と出来事が一体であり、
相互に関連し合っているという考え方にもとづいて、
万物の多様な姿をその基礎にある「一なるもの」の
現れとして経験します。

ところがユダヤーキリスト教の正統的伝統では
対立する二元的なものを強調します。
たとえば上なる神と、下なる罪深き人間とか
世界と対抗する魂、肉を克服しようとして戦う霊、
エヴァのような女に対抗する正しい男、
などといった具合です。


「タオの道しるべ」 ジーン・シノダ・ボーレン 著